近年話題になることの多いAffinity V2です。疑問はAdobe CCの代替えになるかどうかです。
結論から言うとプロの現場では代替えにはなりません。理由は後述して行きます。
価格で選ぶか、機能で選ぶか、迷っている方に導入のポイントをアドバイスして行きたいと思います。
大切なことは対価を支払うのですから、何を目的に導入するかです。ブログやSNSで使用したいとなれば画像編集ソフト1本あれば事足ります。
ちなみに以前のCS6の導入には(2012年時点)
Master Collection 33万4950円 アップグレード版:13万5450円
Design Standard 16万6950円 アップグレード版:7万350円
Master Collectionは高額でしたが必要経費でした。
AffinityとAdobe価格比較表
項 目 | 価 格 | 項 目 | 価 格 | |
Affinity V2 | 24,400円 | Adobe CC | 72,336円/年 | |
画像編集ソフト | Affinity Photo | 10,400円 | Photoshop CC | 28,776円/年 |
ベクターイメージドローソフト | Affinity Designer | 10,400円 | Illustrator CC | 28,776円/年 |
ページ組版ソフト | Affinity Publisher | 10,400円 | InDesing CC | 28,776円/年 |
PDF編集ソフト | Acrobat pro | 23,760円/年 |
2024年2月末時点
Adobe製品は高額です。プロのソフトと言われる由縁ですね。高価なのですが制作会社やプロのデザイナーには選択は一択しかありませんでした。でも5~6年は活躍しますから現場では直ぐに回収出来る価格でもありました。
デザイナーが個人で導入するには高価ですよね。定期課金(サブスク)になったことで個人でも負担が少なく利用できる料金設定になったのです。このことは評価できることなのですが。
Affinity V2はAdobe CCの代替えにはなりません。
理由は
①日本語形式の組版には対応していないこと。
そもそもコンピューの発祥が欧米なので、アジア諸国の言語は目的に入っていません。文字入力はタイプライターの機能です。ですから日本語形式の縦書きはソフトの機能に依存されます。
②印刷会社・出力会社、出版社、多くの制作会社はAdobe社のソフトを標準で備えており、その編成が変わらないと二重のソフトを準備しなければなりません。
WEBデザインを志すのであればAdobe CCを導入することになります。何故Adobe CCなのかそれは広告業界の中で標準化されているからです。共同作業で制作を進めるのには統一されていないと不便です。また最終的な出力会社、印刷会社も対応していないと受け付けてくれません。確認が必要ですね。
③今まで出来ていた事が出来ない。これは決定的な要因です。
他所のデザイン事務所で出来る事が出来ないのは、死活問題です。広告業界でAdobe製品を使用する目的は誰でも早く、簡単に出来ると言う事が求められます。理由は簡単、納期の厳守です。だから高額でも便利なソフトを購入します。
裏技的な対処方法も解説する方がいますが、他のソフトを兼用しなければならないのでは本末転倒です。
WEBデザインの世界もAdobe社が永続版のAdobeCS6からAdobe CCに移行したのを受けて、多くのデザイナーが移行に迷い代替えソフトを検討していました。
そんなAdobeソフトの過渡期、Affinity Designer2がリリースされたのは2022年。そう言う私自身も興味を持って試用版を試してみました。
●Affinity V2無料使用版
https://affinity.serif.com/ja-jp/
2024年03月。Affinity Storeの半額、割引セールの限定割引特典を開催中!
https://jp.immedsavings.com/クーポン/affinity.serif.com
購入に限定割引特典を使ってみるのも一案です。
プロの現場なので全ての機能が使えて便利なのがMaster Collectionです。
Adobe CCは多機能ゆえ習得するには絶え間ない努力が必要です。問答無用で覚えるにはデザイン事務所に従事するのが一番手っ取り早いです。
どんなソフトでも独学で習得するのは難しいものです。興味で覚えるのと、強制的に覚えるのでは労賃に関わってきます。デザイン事務所では給金を貰って勉学させて貰えます。
●Adobeマスター講座
Adobe 公認のオンラインスクールなのですが正規版ですと72,336円が32,356円割引で導入出来ます。
Adobeマスター講座
安く導入・勉強する方法として、ご紹介してきましたが残念ですが、当サイトでの ASP は2024/08/23で終了しました。
ご愛顧有り難うございました。
再開されるようでしたら当サイトで再度紹介したいと思います。
なお、デジハリONLINEプロモーションは引き続き運営されていますので、直接お問い合わせ下さい。
更新時の注意も当サイトで説明していますので、是非寄ってください。
Adobe認定の救済特別価格ですね。運営は「Adobeプラチナスクールパートナー」デジタルハリウッド株式会社です。
Affinity Photoの良いところ、悪いところ
画像処理ソフトはデジカメの普及と共に沢山のソフトが開発されました。プリンタのバンドルとして無料(?)で付属もしていました。有料ですと機能も豊富で皆さんも使ったことでしょう。
Affinity Photoのメリット
①買い切りで安心して使える。
②価格帯も安価で手に入れ易い。
③操作自体も画像の編集だけですので慣れれば難易度は高くありません。
よく使う「トーンカーブ」や「アクション」機能も備わっています。
PhotoshopアクションはAffinity Photoでは「マクロ」機能を使います。
Affinity Photoのデメリット
①日本語形式の組版には対応していない。年賀状制作には縦書き入力が出来ません。
②Adobe Photoshop とは制作上の微妙な違いが違和感としてある。
Affinity Photoの試用感想
画像編集ソフトとしては秀逸と言って良いと思います。ただ日本形式の組版に対応していないので縦組み入力が出来ません。年賀状などの制作は他のソフトの手助けが必要です。
Affinity v2もこの一年で価格が大幅に上がりました。2020年頃Affinity 単体は6,000円位でしたが、Affinity Photo単体でも4,000円の値上がりです。
正直言って単体でもAdobe Photoshopを凌駕するものであれば、納得できるのですが価格帯だけで導入するにはまだ不足の機能があるので後々後悔しそうです。
無料画像編集ソフトとして人気のあるGIMPは、日本形式の組版に対応していて無料です。初期設定に難しさはありますが、操作に慣れればPhotoshop並みの文字の装飾・ネオン文字なども制作ができます。なので10,400円の対価を払ってAffinity Photoを導入する理由が見つかりません。
とは言えブログやSNSで使用する分には充分だと思います。
画像編集ソフトも無料でまだ沢山ありますが、「これが出来るか」が大切ですね。
Affinity Designerの良いところ、悪いところ
ベクター形式のドローソフト、Illustratorの代替えソフトとして提供されています。
ドローソフトとは自由に画像や文字を配置することが出来ます。線画を描いたり図形を制作したり出来る事が最大の特徴です。
ベクター形式とはロゴやイラスト画像など解像度に依存しないで拡大や縮小、劣化に強いという特長を持っています。画像フォーマットには拡張子にAIやEPSまたはSVGが使われます。
文字の割付けは印刷業界の単位を覚える必要があります。印刷業界には独自のルールがあるので、文字の割付けや画像の解像度など覚えておきたいです。商業印刷で最適な版下を制作するには必要です。
単体のチラシやPOP、名刺からポスター制作にまで利用できます。
Affinity Designerのメリット
①何と言ってもベクター形式の制作物を安価に使えるのは魅力です。高度な機能を必要とされないブログやSNSでは充分だと思うのですが、Affinity Photoと連携すれば見栄えの良い作品ができると思います。
Affinity Photoの画像だけでなく、EPS画像などを編集して多彩な表現もできます。綺麗なイラストを挿入できると表現の幅が広がりますね。
Adobe CCの代替えとしてデザイナーの候補に上がるのはこれが原因だと思いますが、良く確認しないとですね。
Affinity Designerのデメリット
①先述しましたがAffinity Photoと同様、日本語形式の組版には対応していません。
ですから縦書き文字は入力出来ないことになります。
②日本形式の組版で必要なダブルトンボ機能がありません。
対処の方法は、Illustratorで作成されたPDFのデータを呼び込んで使用する事です。
③Affinity Designerなどのベクター形式のドローソフトは多機能ですので、専門の知識が求められます。Affinity Photoよりは難易度は高いです。
Affinity Publisherの良いところ、悪いところ
Affinity PublisherはInDesignと互換性がありますか?よく聞かれる質問ですが、結論から言うと出来ます。InDesignで作成されたPDFのデータを呼び込んで使用する事で対処する方法があります。ですがインポートされたInDesignファイルは、独自のInDesign設定があるためCMYKや画像の解像度が変更される場合があります。設定しなおせば変更できます。反対にInDesignに呼び込む場合は拡張子・設定の変更などが求められます。完全互換とまでは行きません。出版社や印刷所に入稿するときは注意が必要です。
Affinity Designerで割付けしてもAffinity Publisherと同等の制作ができますが、複製を繰り返しながらPDFに変換しなければならないので、作業の短縮化には不便です。でも面倒でなければこれが簡単です。後はPDFの結合ですが…。Acrobat proが必要になります。他の方法も勿論ありますが。
Affinity Publisherのメリット
Affinity Publisherは、Adobe InDesignと用途がほぼ同じページ物制作のツールです。
横組みテキストだけで組版するのであれば、画像も挿入できるので制約はありますが問題ありません。
Affinity Publisherは書籍・パンフレット・説明書などの冊子印刷には便利なソフトです。親となるページを割付け(文字の大きさ、文字数、行間、段差)して設定すれば新しいページに適用されて行きます。
印刷業界のルールを覚えて、文字の割付けを計算するのは難易度が高いです。挿入する画像も解像度や形式の制約があります。デザイン事務所や出版社の経験と同等の知識が必要なので、個人で趣味などで使うことは先ず少ないでしょう。
ページごとのレイアウト変更も可能です。皆さんがWEB上でDLした資料など多くがこう言ったInDesignなどのソフトで制作されています。
マンガ本やイラスト集にはガイドを作成し(ガイドとはレイアウトする範囲を示したり、オブジェクトを並べたりする時の目安として利用される、印刷されない線です。)表示・非表示は切り替えられます。
複数ページのレイアウトや、テキストと画像の柔軟な配置を得意とするページソフトですね。
Affinity Publisherのデメリット
日本語形式の組版には対応していません。縦組み入力が出来ないと週刊誌や書籍などの制作には向いていないと言うことになります。
出版社や印刷所でもAffinity V2の対応が必要になって来ます。Affinity V2に精通したオペレーターも必要になります。Adobe製品が業界の中で標準化されていますので、入稿に制限や仕上がりの相違が現れるのは覚悟しなければなりません。
●Adobe 三種の神器、ブログで使うとオシャレに大活躍
広告業界に無くてはならないソフトですね。類似のソフトは他にもあるのにと疑問に思う人も多いと思います。
今回はWordPress記事投稿で役立ちそうな、高品種な装飾画像の作り方を説明して行きます。全てAdobe CCに組み込まれ[…]
Affinity V2の今後の進化に期待
Adobe社は1985年に、”PostScript”を発表。PostScriptはページ記述言語なのですが、高品質な印刷物の作成には欠かせない技術です。PostScriptはほぼ全ての広告業界の標準プログラミング言語になっています。
1993年にIllustrator5.0日本語版が発売されて日本のDTP時代が始まりました。Illustrator5.0日本語版は日本語形式の組版に対応した事でDTP分野で大きな普及を果たしました。日本語形式の組版とはそれまで写真植字機で主流だった文字の単位ポイントからmm(級)に対応した入力機能です。日本語形式の組版と編集が一台のパソコンで完結できることから企業だけでなく個人のデザイナーにも使われるようになりました。
Affinity V2がAdobe CCに追随して行くにはこれらの課題を解消しなければなりません。
20年経ての後発Affinity V2ですが、Adobe社の牙城をどこまで追随できるか期待したいですね。Affinityにとってはまだまだ課題が多いです。また他のソフト同様ですがAffinityも(サブスク)に移行して行くことも視野に入れておくべきでしょう。
価格で選ぶか、機能で選ぶか。
選択肢は
①何をしたいか
②どの分野で使用したいか
③継続(機能的に)して使用できるか
④向上心に追従できるか
最も大切なのは業務として使用する場合、他の環境で出来る事が同じに出来るか。ですね。
●永続版 Adobe CS 6 まだまだ使える
「Adobe が Creative Suite 6 (CS6)」のサポートを2023年1月31日に終了するとのことでしたが延期され終了時期は未発表のままです。(執筆時点)
Adobe Creative Suite 6 Desi[…]
Adobe CS 6 での入稿もまだ現役で受け付けています。しかし中古(建前は譲渡)のAdobe CS 6 は永続版ということもありプレミア物になって高値が付いています。
Affinity V2の総評
ブログやSNSだけで使用したいというなら、無料の画像編集ソフトでも充分でしょう。DesignerやPublisherは一般の方には難しい機能が多く、知識と向上心が無いとお勧め出来ません。
WEBデザインに興味があり、他の人の作品を見て同じ機能が欲しければ、現時点ではAdobe CCの選択しかありません。これが出来ない、あれも出来ない。そんな選択の後悔はしたくありませんよね。
高価とも思うのですが、先述したように一歩先ゆく先輩たちのデザイナーはそれを武器に活躍しているのです。
単体で購入は割引が無いので高価ですが、一般の人も入学出来るAdobeマスター講座ならお得です。
Adobe認定の救済特別価格ですね。運営は「Adobeプラチナスクールパートナー」デジタルハリウッド株式会社です。
Adobe CC コンプリートプランであれば
①Photoshop CC
②Illustrator CC
③InDesing CC
④Acrobat proはPDF編集に必須、頻繁にお世話になるでしょう。
⑤Premiere Proはスマホやデジカメで撮った動画を編集出来るのであると便利です。
20ものソフトが揃っています。他のソフトが必要ありません。それでも高いとお思いでしょうか。
Adobe Acrobatの裏技、開いたPDFはAI-OCRでテキストを抽出する事が出来ます。何かと便利なので覚えておくと役立つでしょう。
終わりに
Affinity V2 導入についてデメリットだけ説明しましたが、個々の求めているものが違うと思います。
自己の現場だけであればAffinity V2も機能が限定されるとは言え、WEBデザインの勉強には役立つでしょう。知恵を絞り、足りないものを補って行くのも決してこれから先無駄ではありません。
収益を生むツールとしてWEBデザイン現場で活躍したいとお思いの方は、現時点では全ての機能が揃っているAdobe CC コンプリートプランが安心で後悔しないでしょう。
自分にとって最高のソフトを是非手に入れて下さい。
プロの現場で長年DTPの世界でAdobeと共に歩んで来た私が、Affinity V2の人気に違和感を覚えた感想でした。皆さんの導入の参考になれば嬉しいです。
長い投稿でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました。またご来訪お待ちしています。