2024年秋「写研書体」がいよいよリリース

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2024年秋、「写研書体」がいよいよリリースという事で、商業デザインとの関わりを考査して見たいと思います。

DTPや商業印刷に携わっていない一般の方には「写研書体」?、と馴染みが無いと思います。

フォントをあまり気にしない人も多いでしょう。でも文字を画像として表現した時、紙面の印象は変わってきます。書体による相性もそこにはあります、自然の風景の花木のように。

またフォントって有料なのと思う方も中にはいらっしゃると思います。

フォント導入はデザイナーにとってはお客様の利益の為です。広告を依頼されるのですから商品の販促のために洗練されたフォントは欠かせません。

むかしむかし40年ほど昔、皆さんが目にしない日は無いほど日本の広告業界を席巻していた書体がありました。

学校の教科書から参考書、新聞から週刊誌、TVのタイトルからテロップ。洗練された書体はほぼ全てと言っても過言では無いほど日常生活の中で活躍していました。洗練された文字は視覚に残ります。活躍したのは写真植字機と「写研書体」でした。

欲しいなと思うのは商業印刷に携わっているデザイナーの人達だけでしょう。

と言っても商業印刷に携わっていない一般の方は無料のフリーフォントで事足りるので、こうした有料のフォントは思い浮かばないと思いますが、ちょっと視野を広げて見ませんか。

特にブログやSNSなどをご利用の方は見出しなどでPNG画像のアイキャッチとして制作し使う方法もあります。文章ではなくキャッチコピーですね。

「写研書体」が現在に継承されなかった理由

Adobe社がIllustrator日本語版を発表する際、写研に書体のデジタル化をアプローチしましたが、写研はこれを受け入れませんでした。Adobe社は「モリサワ」と提携しました。

当時は写真植字機と「写研書体」が業界では最盛期でした。

この時「写研」が参入していれば、日本の文字文化ももっと身近に残ったのですが。

広告業界のデジタル化に伴い、「写研書体」は一部の雑誌の表紙以外私たちの視界から消えていきました。

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2024年秋、「写研書体」がいよいよリリース。

写研書体OpenTypeが2024年秋に「Morisawa Fonts」にてリリース。

待ちに待ったと言いたいところですが、2021年の発表から3年、待望の書体はリリースされるでしょうか。

2021年に発表されていましたが「Morisawa Fonts」にて先ず43書体提供される予定になっています。今後数年にわたって100フォントが追加されて行く予定です。

モリサワ・写研書体リリース

今回提供予定される写研フォント43書体
■改刻フォント

・石井明朝 L/R/M/B

・石井明朝オールドスタイルかな L/R/M/B

・石井ゴシック L/R/M/B/EB

■写研クラシックス

・有行書

・石井楷書

・石井中ゴシック

・石井中丸ゴシック

・石井中明朝

・石井中明朝オールドスタイル大がな

・イナクズレ

・イナピエロ B

・イナミン

・イノフリー

・いまぎょう

・今宋

・いまりゅう

・織田特太楷書

・ゴーシャ E

・紅蘭中楷書

・ゴカール H

・ゴナ E

・新聞特太ゴシック

・新聞特太明朝

・創

・挙蘭 E

・曽蘭太隷書

・スーシャ H

・スーボ B

・鈴江戸

・ナール EL/E

・ナミン

・ボカッシイG

・ミンカール

残念ながら私の即時に欲しい待望の書体は今回提供されないようです。

長い「写研書体」不在の中で代用するフォントは何とか揃えており、無二のフォントであれば購入に二の足はないのですが。洗練された書体なので頻繁に使う見出しや小見出しでさり気なく使いたい、人気のゴナD/DB、ナールD/DBなどの書体が無いのです。

タイトルなど独特のフォントはウェイトのあるE文字で良いでしょうが頻繁には使いません。

現在使用している私のフォントは買い切りでOpenTypeフォントが主です。購入時は予算が要りますが永い年月使えますし、値上がりは関係ないですから。

①Morisawa Fonts

②フォントワークス

③モトヤ正楷書3(写研書体、別売発売元より購入)
 名刺・挨拶文、硬さがなく繊細な優しさを伝えるお気に入りの書体です。
 オンラインショップはこちら 楷書体に興味ある方は一度訪れてみて下さい。
 

モトヤフォントのオンラインショップ | MOTOYA FONT SHOP

モトヤフォントの直販サイト。モトヤの書体を1書体から購入が可能です。…

④視覚デザイン研究所:Trueロゴ

⑤白舟書体(筆文字)

フォントって結構金が掛かります。ソフトウエアもそうですが、最低限の投資ですね。必要とする書体だけを厳選して揃えています。皆さんも結構使わないフォント沢山ありませんか。

「Morisawa Fonts」サブスクリプション

2024年3月現在の価格は

1ライセンス
更新 48,180円/年
新規 64,240円/年
2000種類以上のフォントが使い放題です。

買い切り
Select Pack 1【PC用】22,000円(税込)
Select Pack 3【PC用】59,400円(税込)
Select Pack 3」の場合、1台のPCに3種類の書体を選んで入れられると言う事です。

2024年秋と言う事ですが、サブスクリプションの価格も必要・不必要に関わらず、これで値上がりすることは間違い無いでしょう。

写真植字機の残したもの

コンピューターの単位はインチとポイントですね。日本人の私たちは日常メートル、センチ、ミリで長さや大きさを表します。欧米で普及しているインチとポイントでは大きさが瞬時に分かりません。

写真植字機の単位は0.25mmと単位で操作します。0.25mmが1歯(歯というのは写真植字機のギアの歯が0.25mmの間隔で動作していたから)と言う単位で4歯が1mmです。歯=級とも言い換えます。文字の大きさや行間もこの単位で計算します。

14級(3.5mm)の文字25文字の幅は87.5mmです。
行間を半角空きとして25行。
計算は14+7(半角)×24行=504歯+14級(全角)分で129.5mm。

テキストボックスを数値で作成すればキッチリ治ります。

掛け算割り算、四則演算(加減乗除)と言いますが分かり易いですよね。

DTPや紙面の割付けにはこの方法が簡単で、多くのデザイナーがIllustratorやInDesignで割付けしています。

写真植字機もそうですが、Adobe社も日本語組版に順応してくれたことが商業印刷にとっては大きな貢献でした。

Adobeマスター講座

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安く導入・勉強する方法として、ご紹介してきましたが残念ですが、当サイトでの ASP は2024/08/23で終了しました。
ご愛顧有り難うございました。
再開されるようでしたら当サイトで再度紹介したいと思います。

なお、デジハリONLINEプロモーションは引き続き運営されていますので、直接お問い合わせ下さい。

Adobe認定の救済特別価格ですね。スクールですので一般の方も通常価格より32,356円も安く手に入ります。

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「写研書体」と「モリサワ Fonts」

「写研書体」とは写真植字機文字盤のネガプレートによる提供でした。当時1書体セットで20万円位でした。20~30書体は最低限必要でしたね。

制作現場では書体も広告の一種で、必要不可欠のものでした。今でも同じですが。

デジタル化した「Morisawa Fonts」は1書体2万円位。
えっ写植書体ってそんなに高いの…、商業広告ですからね。需要が利益を生むのですから。

終わりに

当時題字(タイトル等キャッチコピー)やPOP調文字はデザイナーの手書きでした。今では多彩なフォントが登場し手書きで対応することも少なくなってきました。

今後、待ち望んだ写研書体が追加されていく訳ですが、早い登場を待ちたいです。

「モリサワ Fonts」も多彩なフォントを提供される訳ですので、選択肢が増えると共に選別に苦労しそうです。

趣味でチラシなどを制作している方も、買う買わないは別にして興味がてら有料フォントを覗いて見るのも勉強だと思います。多彩なフォントに興味を持っていただけたら視野が広がりますよ。

活字から写真植字書体、そして現在のデジタルフォントへの変遷。機会があれば職人と言われた印刷業界の先人達の苦労と自負を、今のデザイナーの方に執筆したいとは思っていますが話が長くなりそうですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。一方的なページでしたが多少でも参考になったでしょうか。

またご来訪お待ちしております。

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